南フランスのシンフォニア・コンチェルタンテ

南仏の街マントン。すぐ西はモナコ。すぐ東はイタリア。

15年ぐらい前でしょうか。ここの街の音楽祭に招かれました。イギリス室内管弦楽団と一緒にロンドンから飛んできました。

ヴァカンスシーズンです。青い空。青い海。リハーサルの前に海で泳いで、水着のままホテルに帰ってバルコニーから海を眺め、それから着替えてリハーサルに行く。リハーサルの後はワインとディナー。ふふふ、こんなおいしい(文字通り)仕事は滅多にありません。オーケストラのメンバーも私も、ゴキゲンです。

写真は丘の上の教会(右側の建物)の中庭なんですが、ここに特設ステージを作って、夕日が沈むのを見ながらのコンサート。まさに青天井。そしてこの眺め。演奏するにつれて空の色が青から赤に変わっていくという、贅沢極まりない音楽会です。

メインの曲は、モーツァルトのシンフォニア・コンチェルタンテ。ヴァイオリンはオーギュスタン・デュメイ、ヴィオラがジェラール・コセという、これまた、これ以上の贅沢はないというソリストです。

第2楽章をリハーサルしている時にデュメイが言いました。

「僕はもっと小さい音で弾きたいんだ。オーケストラの音も小さくしてくれないか」

野外ですよ。そんなに小さくしたら聴こえないんですよ、後ろの方のお客さんは。

「いいんだ。そうしたいんだ。」

本番で思いました。音楽は音だけを聴くものではないんだと。そこに演奏者がいて、その人たちが表現したいと思っているものが、どんな形ででも、たとえそれが音でなかったとしても、伝われば、それは素晴らしい。

ずっと記憶に残っている演奏です。


そのとき以来この曲は封印してきましたが。。。そろそろいいでしょう。

神谷美千子、佐々木亮のおふたりはその昔、アポロ弦楽四重奏団というカルテットを組んでいたのですよ。この2人ならばきっと!

乞うご期待。



神谷「そんなこと言われると弾きにくいな〜もう〜」