ちょうど10年前になりますが、私たちがパリに住んでいた時、あの地震がありました。私たちにできることは何かと考えた結果、現地の音楽家を集めてオーケストラを結成し、2回のチャリティーコンサートを行いました。せっかく集まった音楽家たちで、そのままオーケストラを続けていく企画もありましたが、私たちの帰国のため叶わなくなりました。
帰国後も同様のオーケストラ設立の希望はずっと持ち続けていましたが、この度のコロナ渦で、音楽家の活動が極端に制限されたことを受けて、若く優秀な音楽家たちにより多くの演奏の機会を作りたいと思い、小さなオーケストラを立ち上げることにしました。
音楽大学の卒業間近な学生から、卒業したばかりの音楽家、また、すでにプロとして活動している音楽家による混合チームです。N響首席ヴィオラ奏者の佐々木亮さんは、神谷とカルテットを一緒に弾いていた古くからの友人で、今回の演奏会に快くご参加くださることとなりました。神谷、佐々木両氏は、モーツァルトでのソロのみならず、シェーンベルクでも演奏いたします。若い音楽家にとっては、良き先輩から学ぶ素晴らしい機会でもあると思います。そのような教育的な意味も込めて、このアンサンブルはスタートします。
音楽のみならず、芸術そのもの(Art)を、生き生きと(Vivant)、一緒に(Ensemble)作っていくことを考えてこのような名前にしました。若々しい感性がステージに溢れる様子をどうぞお楽しみください。
音楽監督
佐藤俊太郎・神谷美千子
応援メッセージ
『音楽も小説も映画も絵画も、豊かにではなく、ただ生きるために必要なものなのだとコロナ禍で思い知りました。俊太郎さんと美千子さんの友人として、同じ表現者として、彼らの決断を応援します。
音楽を必要とするすべての人に、音楽が届きますように。』
金原ひとみ、小説家