Mozart: Divertimento K.563 in Es

3大交響曲を書き終えた翌月に書かれた作品です。だからと言ってこれらは『晩年の作品』なのでしょうか?

3大交響曲は1788年8月までに、ディヴェルティメントは9月に完成されましたが、この後モーツァルトにはまだ約4年間の人生が残されていました。35年の人生のうちの4年間が、これほどの天才にとって何を意味するのかを考えると、『晩年』というわけでもないかもしれないとは思いませんか?

さて

25歳までのモーツァルトは、活動の拠点ザルツブルクでたくさんのディヴェルティメントを書きました。一体何曲書いたのかは、よくわかっていません。

ザルツブルクではディヴェルティメントの需要がたくさんありました。『嬉遊曲』とは昔の人はうまい日本語訳をつけました。文字通りBGMのようなものもあったでしょうが、それにしてはあまりにも美しすぎる作品(例えばK.334のディヴェルティメント)も多くあります。

ウィーンではなぜか人気がなかったらしいこのジャンル。モーツァルトが書いたのはこのトリオ1曲のみ。しかしその音楽的内容はさすがにザルツブルク時代から大きな進歩を遂げています。

ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの三重奏はかなり珍しい編成でしたし、このような室内楽で、全6楽章、50分という、本式のディヴェルティメントを書こうと思ったのには何かはっきりとした意図があったのでしょう。

初演ではモーツァルトがヴィオラを弾いたそうです。

本当は50分弾きたいところですが、EAVの演奏会では第1楽章を演奏します。

佐藤俊太郎


アンサンブル・アール・ヴィヴァン 第3回公演


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