引っ越しシーズンに寄せて

ロンドンとヘルシンキに、あわせて10年ぐらい住んだ後、3年間だけ東京に住んだ。

外国では日本語の本が手に入らない、あるいはとても高い。だから日本に帰ってきて本を買いまくった。読みまくった。

3年経って、今度はパリに引っ越すことに。その時に持っていた本を全部パリに送るわけにもいかなかったので東京で売ることにした。大型古本チェーンに本を大量に送ると、向こうで査定して送金してくれた。

パリに行ってみたら、なんと、その大型古本チェーンのパリ店があった。新刊を扱う有名書店のパリ店もあったけれど、そちらはずいぶん値段がしたものだ。

ある日、あの時東京で売った本の中の1冊をもう一回読みたくなった。その古書店に行くと、果たしてその本はあった。

ハイ、もうわかりましたね。

私が売ったまさにその本が、海をこえて手元に帰ってきたのでした。

佐藤俊太郎