メンデルスゾーンにしますか? ワーグナーにしますか?
結婚式でこれから入場というときにスタッフに訊かれました。もうちょっと早くに訊いてくれればよかったんですが、それはともかく、私の口から出たのは、
どっちもやだ
ここで結婚式をドタキャンされてもおかしくない状況でしたが、まあ、その場はなんとか切り抜けました。
そうかやっぱり女性というのはちゃんと王道で決めたいものなんだなあ、と深く反省し、そしてひそかにチャンスを狙っていました。
メンデルスゾーンの結婚行進曲(パパパパーンの方ですね)は、シェークスピアの「真夏の夜の夢」につけられた音楽です。夏至のころのお話ですね。
この曲の序曲はイギリスではよく演奏されます。さすがはシェークスピアの国。特に夏至のころは、この序曲でコンサートが始まったりします。序曲の他にもこの劇音楽から何曲か演奏されることもあって、もちろんそこには結婚行進曲も含まれます。
うちの結婚式は夏至のころだったので、このメンデルスゾーンにうまく当たらないかなあと私は思っていたわけです。
ひそかに念ずること3年。
チチェスター音楽祭でフィルハーモニア・オーケストラの公演をします。チチェスター大聖堂での演奏会です。これに出演していただきたい。プログラムは「真夏の夜の夢」…
というオファーがあって日にちを見たら、結婚記念日ですよ、これが。
私はしていない約束を守ったりするのです。ぬはははは。
佐藤俊太郎