グリーグの音楽が好きです。
ペール・ギュント、原作であるイプセンの戯曲を読んで、グリーグの劇音楽全曲を訊いてみてください。もう最後は涙が止まらないはずです。
ピアノコンチェルトも私は大好きです。そしてピアノソロのための抒情組曲は素晴らしい音楽の宝庫です。
私はペール・ギュントが好きすぎて、組曲を組み合わせて、合間に物語を(自分で)お話ししながら指揮する、というコンサートを何度もしています。感動のエンディングの後のアンコールは、抒情組曲の中から、グリーグが自ら弦楽合奏のために編曲した『ゆりかごの歌』をいつも演奏します。
「ペール・ギュントのお話はよく分かりましたが、アンコールの曲には何かお話があるのですか?」
コンサートの後、指揮者室に中学生が訊きにきました。
「グリーグには子供がいたんだけど赤ちゃんの時に死んでしまったんだよ。それでその子を思い出してこの曲を書いたんだ。」
「それを書くことで悲しみを乗り越えようとしたのでしょうか?」
「うーん、それは僕らにはわからないことなんだ。でも、君が大きくなってお父さんになった時、グリーグはどんな気持ちだったか、もしかしたらわかるかもしれない。その時にふと思い出してくれたら嬉しいよ。」
「分かりました。ありがとうございました。」
心の中にまっすぐに入り込んでくる曲を書いたグリーグ。
と、ここまで書いたら、神谷美千子が言うのです。
「私グリーグと誕生日一緒なんだよ」
というわけで(どういうわけか)
今回の演奏会の最初の曲はグリーグのホルベルク組曲です。お楽しみに!
佐藤俊太郎
アンサンブル・アール・ヴィヴァン 第2回公演
本番まで、あと少し! 第2回公演のチケット発売中!
2021年10月15日(金)18:30開演(18:00開場)
三鷹市芸術文化センター 風のホール